知性は赤ちゃんの時の食事で決まる
7,000人以上の子供を対象とした研究では、幼いときの食事の内容と成長後のIQとの関連性が判明しています。
アデレード大学(オーストラリア)公衆衛生学部のリサ・G・スミザーズ、レベッカ・K・ゴリー、マーシー・N・ミッティ、ライマ・ブラジオーニス、ブリストル大学(イギリス)社会・地域医療学部のケイト・ノースストーン、ポーリン・エメット、ジョン・W・リンチ博士らがおこなった2012年の調査では、子供が日ごろからとる食事と彼らのその後の成長レベルとの関連性について調べられました。
すると、幼少期から健康的な食事を与えられていた子供たちは、そうでない子供たちと比べて、IQが高いことが研究で明らかになったのです。
つまり、健康に気を遣える家庭に生まれた子供はそれだけ頭も良くなりやすいのです。
一般的にお金持ちで社会的に成功している家柄ほど健康的な食事をする傾向があるので、これも社会格差の原因のひとつになっているのかもしれませんね。
子供の頭を良くする食事
この研究では、生後6カ月、15カ月、2年の時点での子供たちの食習慣(どんな食べ物を食べていたか)を分析したうえで、8歳になる時点まで追跡調査を行いました。
つまり、生まれたての赤ちゃんのときの食事内容が小学生に上がって以降の子供たちの知性のレベルに影響を及ぼすのではないか?と考えられたのですね。
これが事実で食習慣の知性への影響力が大きいのなら、赤ちゃん・幼児のときの食事内容には親御さんとしてはなるべく気をつけたいことでしょう。
さて、調査の結果はというと、生後6カ月に母乳で育てられ、15カ月と24カ月に豆類、チーズ、果物、野菜などの健康的な食事を定期的にとっていた子どもは、8歳までにIQが最大で2ポイント高くなることがわかったのです。
やはり健康食は子供の頭を良くするのです。たった2ポイントかい!と思うかもしれませんが、IQはほとんど遺伝で決まってしまうため(身長よりも遺伝率が高い)、後天的に上げるチャンスがあることは大いに喜ばしいことです。
子供の頭を悪くする食事
さらに、研究結果はこれで終わりではありません。
食事に関してもうひとつ重要なことは、不健康な食事のネガティブな影響力です。例えば、生まれたばかりのころでも不健康な食生活をしていると頭は悪くなってしまうのでしょうか?
どうやらその通りになってしまうようです。
健康的な食事のポジティブな効果に反して、ジャンクフードを食べていた子供はIQが低くなっていました。
生まれてきてから最初の2年間で、例えば、ビスケット、チョコレート、お菓子、ソフトドリンク、ポテトチップスなどの加工食品を定期的に食べる食事習慣を持っていた子供たちは、年齢が8歳になるころにはIQが最大で2ポイント下がってしまっていたのです。
これは、健康食を食べていた子供たちと比較すると、最大で4ポイントのIQの開きができてしまうことになります。
ベビーフードは健康に良いのか、悪いのか?
また、ベビーフードはどうなのか?ということも分析されています。
不思議なことに、子供が生後6ヶ月の時点で調理済みベビーフードを与えた場合はIQにマイナスの影響を与えていましたが、24ヶ月の時点で与えた場合にはIQにプラスの影響力がありました。
加工食品を与える時期によって効果が変わるのは不思議ですね。この結果を見ると、工場で調理されたベビーフードも子供の成長にとって完全な悪ではないようです。
身体、または心の調子が悪い人は、騙されたと思ってまずは食事の内容を変えてみてください!本当にたったこれだけで多くの人は体調がずっと良くなります。騙されろ~
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) March 13, 2022
なぜ赤ちゃんのときの食事が重要なのか?
食事は人生の最初の2年間の脳組織の発達に必要な栄養素を供給します。このため、良い食事をとることは、肉体の形成期において特に重要であるとリサ・スミザー博士は述べています。
以前にも解説しましたが、大人にとってはそこまで影響のないことでも、成長期でなおかつ肉体の機能がまだ十分に備わっていない子供たちには大きな影響を及ぼすことがあるのです。
食事内容が生み出すIQの差はそこまで大きくはありませんが、子供に与える食べ物に関しては、長期的な影響力、特に大人になってからの変化を考慮することが重要なのです。
今はそこまで影響のないことでも、巡り巡って気づいたら大きな損失をもたらしていたということもあるので、小さいころの生活習慣にはなるべく注意したいですね。
参考論文
Smithers, L.G., Golley, R.K., Mittinty, M.N. et al. Dietary patterns at 6, 15 and 24 months of age are associated with IQ at 8 years of age. Eur J Epidemiol 27, 525–535 (2012).