くるちょろ心理学研究所

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【ASD】男性に多いアスペルガー症候群の治療と向き合い方

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自閉症が近年増加している理由

 

データを見ると、実は過去50年間で自閉症の人の数は増え続けています。

 

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の調査から具体的な数字を見てみますと、現在では54人に1人の子供が自閉症スペクトラムを患っていることになります。

 

研究によると、自閉症に対する遺伝的および環境的な要因は、過去と現在で変わらず、時を経ても一貫していることが示唆されています。

 

したがって、急増の原因は、病気の認知度の向上と診断法の変遷にあると考えられています。

 

診断基準の変更により、これまで診断されなかった人たちが自閉症の診断を受けるようになったことと、自閉症とその症状に対する社会の認識が高まったことで、病院に行って診断を受ける人の数が多くなってきたということですね。

 

なので、自閉症にかかる割合や原因が増えたわけではありません。

 

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アスペルガー症候群は女児よりも男児に多い

 

CDCの研究によると、自閉症が発症する割合は男児の方が女児よりも約4倍多いと言われています。

 

しかし、このような傾向がある理由はまだ完全には解明されていません。

 

たとえば、科学者のサイモン・バロン・コーエン博士が提唱した「極端な男性脳理論(the extreme male brain theory)」では、男性は一般的に物事を体系化する傾向があり、女性は一般的に他者に共感する傾向があるため、自閉症は男性脳の極端な形態であるとしています。

 

しかし、現在ではこの理論は研究者から批判されており、生物学的な違いではこのような大きな矛盾を説明することはできないと考える人もいます。

 

また、「極端な男性脳理論」の否定派の学者らは、そのような理由が存在するとしても影響は小さい可能性が高いとも述べています。

 

アスペルガー症候群の治療法は?

 

アスペルガー症候群の治療は、主に社会的スキルとコミュニケーションスキルの向上を目的とした指導を主軸においています。

 

社会的スキルのトレーニングでは、他の子供たちとうまく交流するために必要なツールを学びます。

 

言語療法(Speech therapy)は、会話能力を向上させ、社会の中で行われているギブアンドテイクの一般的なパターンを理解することに役立ちます。

 

認知行動療法は、感情をコントロールしたり、強迫観念的な興味や反復行動が過剰になっている習慣を抑制したりするのに用いられます。

 

また、感覚統合療法 (Sensory integration therapy)や作業療法(Occupational therapy)、理学療法は、協調することが苦手なお子さんに協調性を学ばせる効果があります。

 

 

応用行動分析とは?

 

自閉症の行動療法として最もよく研究されているものに応用行動分析法(Applied behavior analysis, ABA)があります。

 

ABAでは、スキルを構成要素に分解し、反復と強化によって学習を促していきます。

 

例えば、子供が他人に挨拶することに興味がない場合でも、ABAでは、長期的に価値のあるスキルとして、人に挨拶することを教えていきます。

 

ABAは重度の症状を持つ子供たちから、軽度の症状を持つ子供たちにまで効果が期待できるとされています。

 

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参考論文、参考資料

 

NIMH » Autism Spectrum Disorder

https://web.archive.org/web/20160312130731/http://www.nimh.nih.gov/health/publications/autism-spectrum-disorder-qf-15-5511/index.shtml

Mirkovic B, Gérardin P. Asperger's syndrome: What to consider? Encephale. 2019 Apr;45(2):169-174. doi: 10.1016/j.encep.2018.11.005. Epub 2019 Feb 5. PMID: 30736970.

https://doi.org/10.1016/j.encep.2018.11.005

Baskin JH, Sperber M, Price BH. Asperger syndrome revisited. Rev Neurol Dis. 2006 Winter;3(1):1-7. PMID: 16596080.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16596080/

Baron-Cohen S. The extreme male brain theory of autism. Trends Cogn Sci. 2002 Jun 1;6(6):248-254. doi: 10.1016/s1364-6613(02)01904-6. PMID: 12039606.

https://doi.org/10.1016/s1364-6613(02)01904-6

The extreme male brain explained | Spectrum | Autism Research News

https://www.spectrumnews.org/news/extreme-male-brain-explained/