【ブサイク効果】実は顔が悪い人ほどたくさんお金を稼いでいる!

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美容プレミアムは本当にあるのか?

 

これまで経済学・心理学の研究では、個人の収入に対する「美のプレミアム効果」と「醜のペナルティ効果」について広く多く報告されてきました。

 

これらの心理効果は、簡単に言うと、見た目の美しい人はより多く稼ぎ、見た目が醜い人はより少ない稼ぎになる、というものです。

 

たとえば、雇用者や顧客らによる差別的な扱いに基づく研究では、身体的魅力と収入との間にプラスの関係があると予測されています。

 

過去に紹介した研究でも、顔が良い人ほど出世しやすい!という結果が出ていました。

 

また、職業選択に関する研究では、美容プレミアムを持つかどうかが職業の選択に影響を与えるという結果もあります。

 

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顔が良いからお金持ちになるのではない!

 

しかし、2017年のロンドンスクールオブエコノミクスアンドポリティカルサイエンスのサトシ・カナザワ、マサチューセッツ大学ボストン校のメアリー・スティル博士らの研究によると、肉体的魅力だけで高収入になるという美容プレミアムは存在せず、むしろブサイクな人のほうがより多くのお金を稼いでいるというブサイクプレミアムがある、ということがわかっています。これはかなり面白い展開ですね。

 

この調査では、アメリカの成人を対象におこなわれた13年間の健康に関する全国縦断調査を分析したもので、性格や健康レベルなどをコントロールに組み込んだところ、個人の収入と身体的魅力には相関が見つからなくなったのです。

 

統計的な分析をしたあとでは、美容プレミアムの証拠は非常に弱く、健康レベル、知能の高さ(学歴ではない)、ビッグファイブ性格因子などの個人差が統計的にコントロールされると、美容プレミアムの効果は完全に消えてしまうことがわかりました。

 

つまり、より美しい労働者がより多くの収入を得ているのは、見た目が美しいからではなく、単により健康で、より知的で、より優れた性格を持っているからだった、ということです。

 

内面が優秀ならば結果を多く残せて収入も高くなるのは当然ですからね。

 

収入が高くなる性格特性

 

ここで言うより優れた性格とは、より誠実性が高くで、より外向的で、神経症的傾向が少ないという特徴を持っていることを指します。

 

これらは性格テストとして有名なビッグファイブ性格特性の項目にある3つの指標で、ほかの研究でも誠実性・外向性・神経症的傾向は個人が成功するために重要な特性であるという結果が出ています。

 

こうした性格特性の数値が高ければ、自ずと健康意識も高まるため、仕事のパフォーマンスも向上して出世したり高収入の職業につけるようになるのです。

 

つまり、経済的に成功するためには、顔や肉体にルックスよりも性格が重要である!ということです。

 

 

ブサイクプレミアム効果

 

今回の研究は、差別と自己選択の説明を否定し、収入と身体的魅力との関係は、ただの個人差のよるものだという説明を強く支持する結果となりました。

 

さらに、面白いことに、見た目が非常に魅力的ではない人は、非常に高い収入を得ていることがわかったのです。

 

彼らは、あまり魅力的ではない人よりも常に有意に多くの収入を得ており、平均的な容姿の人や肉体的魅力のレベルが高い人よりも収入が多い場合もありました。

 

研究者らはこれを「ブサイクプレミアム(Ugliness premium)」と呼び、潜在的に醜さに対するプレミアム効果が存在する可能性を示唆しています(詳しい理由はまだわからず。ブサイクな人は真面目だから?)。

 

というわけで、ブサイクな人のほうがお金持ちになる!というまさかの結果になりました。たしかに成功者を見ても、あまり見た目が魅力的ではない人が多いですよね。

 

ここでは誰とは言いませんが、大企業の社長や実業家、お笑い芸人、タレント、YouTuber、政治家などのプロフィール写真を見てまわれば実感できるかと思います。

 

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参考論文

 

Kanazawa, S., Still, M.C. Is There Really a Beauty Premium or an Ugliness Penalty on Earnings?. J Bus Psychol 33, 249–262 (2018). 

https://doi.org/10.1007/s10869-017-9489-6

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