くるちょろ心理学研究所

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【仲良くなるきっかけ】そばにいる人を好きになる心理、近接性の原理を解説

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近接性の原理とは?

 

人が人を好きになるとき、相手の性格や行動、もしくはルックスに魅力を感じて好きになると一般的には思われています。

 

しかし、実は私たちは、ただ物理的な距離が近いというだけで相手のことを好きになるのです。

 

このように、物理的に遠くにいる人よりも近くにいる人の方が親しくなりやすく、対人関係が結びやすい心理的な傾向のことを「近接性の原理 (Proximity principle)」と言います。

 

この心理効果の存在は、ミシガン大学の社会心理学者であるセオドア・ニューカム博士の研究結果から明らかになりました。

 

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物理的な距離が近ければ自然と仲良くなる

 

ニューカム博士の研究では、学生が暮らす部屋をランダムに割り振り、彼らがお互いに知り合って仲良くなるまでの過程が調べられました。

 

するとその結果、「お互いに交流する頻度が高く、物理的に近くの場所に住んでいる人同士では、人間関係を築く可能性が高い!」ということが示されたのです。

 

近接性の原理と似たよう心理現象は、マサチューセッツ工科大学の社会心理学者レオン・フェスティンガー博士の1950年の調査でも見つかっています。

 

こちらでは、「近接効果(Proximity effect、Propinquity effect)」と呼ばれる心理として紹介されています。

 

近接性の原理が起こる心理的な理由

 

近接性の原理が働くのは、「単純接触効果」と呼ばれる心理効果が起こることと関係しています。

 

単純接触効果(Mere-exposure effect)とは、単に接触する回数が多くなければ多くなるほど、そのぶんだけ接触した相手に好感を持つようになるという心理的効果のことです。ビジネス書や恋愛指南書でもおなじみの心理効果ですね。

 

これらの用語がごっちゃになってわかりにくいという人は、「近接性の原理」も「近接効果」も「単純接触効果」も同じものだと考えてください。

 

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交流の頻度が親しみやすさを感じさせる

 

フェスティンガー博士の研究では、アパートの住人が同じ階のすぐ隣の人と最も親しくなりやすいことが判明しました。

 

隣人と仲良くなりやすい理由は、近くにいる相手とは顔を見合わせる機会が多いことで、それだけ相手を見慣れることになり、相手に親しみやすさを感じられるようになるからです。

 

つまり、簡単な言葉でいうと、「何回も顔を見ていたら好きになっちゃった!」ということです。かわいいですね笑。

 

また、この研究では、階段のそばの部屋に住んでいる人は、下の階の住人よりも上の階の住人と仲良くなりやすいことも示されています。

 

これも上の階の住人の方が階段付近で顔を合わせる可能性が高いからです。

 

人は付き合う相手を自分で選んではいない

 

友情・愛情に関わらず私たちの人間関係では、自分から相手を選んで近づこうとする能動的な接触ではなく、環境がもたらす受動的な接触に基づいて発展することが多いのです。

 

いずれの研究でも、出会いの頻度が高い人ほど、より強い人間関係を築く傾向があるとわかっています。

 

ただし、ひとつ注意もあります。それは、このような心理効果が起きない条件も存在するということです。

 

 

近接性の原理の影響が大きくなる条件とは?

 

単純接触効果は、お互いに出会ったときに、少なくとも不快さを感じない場合にしか生じません。つまり、嫌いな人間とは何度会って会話をしても嫌いな気持ちのままなのです。

 

近接性の原理は、人間関係が形成される初期の段階で重要な役割を持ってます。

 

お互いのことをよく知らない出会ったばかりの段階では、お互いに詳しい情報を持たないために人間性よりも物理的な距離(近接性)が優先されるのですね。

 

近接性の原理も単純接触効果も古典的な社会心理学の研究ですが、近年行われた追跡調査でもその効果が証明されているので、仲良くなりたい人を見つけたらうまく活用していきましょう。

 

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参考論文

 

Festinger, L., Schacter, S., & Back, K. (1950). Social pressures in informal groups: A study of human factors in housing. New York: Harper and Brothers.

https://doi.org/10.2307/3348388

https://www.semanticscholar.org/paper/Social-pressures-in-informal-groups-%3A-a-study-of-in-Festinger/9cdabf4da4fcd220bed30147e099f53121008e9b

Ebbesen, E. B., Kjos, G. L., & Konecni, V. J. (1976). Spatial ecology: Its effects on the choice of friends and enemies. Journal of Experimental Social Psychology, 12(6), 505–518. 

https://doi.org/10.1016/0022-1031(76)90030-5

David Marmaros, Bruce Sacerdote, How Do Friendships Form?, The Quarterly Journal of Economics, Volume 121, Issue 1, February 2006, Pages 79–119, 

https://doi.org/10.1093/qje/121.1.79

Preciado P, Snijders TA, Burk WJ, Stattin H, Kerr M. Does Proximity Matter? Distance Dependence of Adolescent Friendships. Soc Networks. 2012 Jan 1;34(1):18-31. doi: 10.1016/j.socnet.2011.01.002. PMID: 25530664; PMCID: PMC4268773.

https://dx.doi.org/10.1016%2Fj.socnet.2011.01.002

Amichai-Hamburger, Y., Kingsbury, M., & Schneider, B. H. (2013). Friendship: An old concept with a new meaning? Computers in Human Behavior, 29(1), 33–39.

https://doi.org/10.1016/j.chb.2012.05.025