本当にやりたいことほどサボってしまう心理を解説

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なぜ夢や目標に向かって努力しなくなるのか?

 

今回は、間違ったポジティブ思考の続きです。

 

前回の内容を簡単にまとめると、「理想的な自分を思い浮かべるほどやる気がなくなり、行動もしなくなる心理がある!」ということです。

 

つまり、ポジティブな空想は成功に近づくどころか、逆に成功から遠ざかってしまう原因になってしまうのです。

 

前回は4つの実験のうち最初の2つを解説しましたので、今回は残りの2つの実験とポジティブな空想でやる気がなくなる心理的な理由を解説をしていきます。

 

理想の未来像を思い描くと何もしなくなる

 

3つ目の実験では、学生を対象に「理想の未来」を自由に想像してもらいました。

 

例えば、「テストでは高い点数を取り、週末は好きな人とデートをする」というような空想を紙に書いってもらったのです。そしてその後は気分と達成感を報告してもらいました。

 

すると、理想的な自分の姿をイメージした学生たちはやる気がなくなってしまったうえに、日常の作業の達成度も下がってしまったのです。

 

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自分の欲望によって効果が変わる

 

最後の実験は、個人の状態によってやる気のなくなる原因が変わるかどうかを調べました。

 

この実験では、「喉が渇いていない学生」と「喉が渇いている学生」を用意し、それぞれに2種類の空想をしてもらったのです。

 

すると、やる気がなくなるポジティブな空想の種類が異なることがわかりました。

 

やりたいことほどやらなくなる

 

喉が渇いている学生の場合では、水分補給をしている自分を想像をすることでやる気が減少し、テストで良い点数を取っている自分を想像してもやる気は下がりませんでした。

 

逆に、喉が渇いていない学生の場合では、テストで良い点を取っている自分を想像をすることでやる気が下がったのに対し、水分補給をしている自分を想像をしてもやる気は下がりませんでした。

 

つまり、私たちは自分が本当に心から欲しがっているものをイメージすればするほど、やる気や活力がなくなって何もしなくなってしまうのです。

 

研究者は、ネガティブな空想が私たちのモチベーションをアップさせているだけではなく、ポジティブな空想がモチベーションを低下させている!と述べています。

 

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ポジティブな空想でやる気がなくなる心理的理由

 

理想的なイメージを描くことでやる気がなくなる理由は、生存の観点から、現実には入手困難な目標(食料や水など)があった場合は、それらが手に入った想像をすることでエネルギーを節約するように私たちの脳みそが進化してきたからです。

 

現代と違って狩猟採集の時代には、常に食料や安全が確保できるとは限らない状況だったので、ポジティブな空想をして怠惰になることで、残り少ないエネルギーを無駄遣いしないようにしていたのです。

 

つまり、理想像のイメージでやる気がなくなるのは、本当に動かなければいけない時のための伏線なのですね。

 

ポジティブな空想はやめておけ!

 

研究者は、ポジティブな空想をすることで目標を達成するチャンスを失う可能性が高くなると警告しています。

 

こうした心理は先史時代には役に立ったでしょうけど、今は悪影響の方が大きいだろうということです。

 

ちなみに、ポジティブな空想のメリットについても一応解説してくれていまして、「恐怖でパニックになったときや、ストレスが溜まったときのリラクゼーションには役立つ!」とのことです。

 

ただ、長期的には目標達成から遠ざかるので応急処置としてしか使えない点には注意が必要です。

 

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参考論文

 

Heather Barry Kappes, Gabriele Oettingen, Positive fantasies about idealized futures sap energy, Journal of Experimental Social Psychology, Volume 47, Issue 4, July 2011, Pages 719-729

https://doi.org/10.1016/j.jesp.2011.02.003

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