くるちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

収入が増えても幸せにはなれない!が、不幸にはなりにくくなる

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お金と幸せには関係がない

 

「お金持ちになれば今よりずっと幸せになれる!」とは誰もが考えることだと思いますが、実際にはお金が多くなっても不幸な気持ちが減るだけで、幸福度は増えないということがわかっています。

 

2015年にブリティッシュコロンビア大学のエリザベス・W・ダン、コスタディン・クシュレフ博士らが、12,291人を対象にした幸福度に関するデータを統計的に分析したところ、いくら収入が今より増えても、幸福度の上昇には関係がない!という結果が出ました。

 

意外ですね。お金があれば好きなことをしたり、好きなものを手に入れることができて幸せになれそうなものですが、実際にはお金と幸せには関係が見つからなかったのです。

 

収入の増加は不幸を減らす

 

もちろん、食事をしたり服を着たり生活必需品を購入するだけの最低限の費用は誰でも必要ですが、幸せになるためにはそれ以上に収入を増やしても仕方がないのです。

 

よく言われるように、お金を稼ぐよりも運動したり趣味を持ったり友達や家族と仲良く過ごす方が幸せになれるのです。

 

しかし、幸せな気分が増えなかった一方で、収入が増えることで、日々の悲しみや怒りといったネガティブな感情は減っていく傾向が見つかりました。

 

つまり、お金を稼ぐことで幸せは増えないのですが、不幸は減らせるのです。面白い心理ですね。

 

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幸福と不幸は対義ではない

 

このような結果が出るのは、幸福と不幸という感情がお互いに完全に真逆の関係にあるわけではないからです。

 

もちろん、幸福と不幸を同時に味わうことは不可能なので、そういう意味での関連性はあります。

 

しかし、これまでの研究を見ても、幸福と不幸は、それぞれが独立した状態だという証拠は少なくありません。

 

つまり、不幸が存在しないから幸福を感じるわけではなく、幸せな気分だからと言って不幸が減ることもないのです。幸福と不幸は対義ではないのです。

 

複雑な人間心理を思い知らされますね。私たちは幸せを増やすと同時に、不幸なことを減らす作業もしなければいけないのです。生活が忙しくなるわけですね。

 

お金が増えると不幸が減る理由

 

お金が増えることで不幸なレベルが下がる心理現象が起こる理由は、たくさんのお金が手元にあるほど、さまざまな不幸な出来事が起きても即座に対処しやすくなるからです。

 

そのため、お金持ちには、貧乏な人よりも困難な状況をコントロールできるという感覚が生まれやすい傾向があります。

 

わかりやすく説明するために、研究者はこの状況を雨漏りにたとえています。

 

雨漏りを修理できるかどうか

 

たとえば、自宅の屋根に雨漏りが起きたとき、お金があれば専門の業者に連絡するだけで簡単に問題を解決できるが、お金のない貧しい人はそれができないので、数ヶ月にわたって雨漏りに悩むことになります。

 

お金があることで問題が起きても対処しやすくなり、このために安心感も生まれて「困難なことも何とかなる!」と思いやすくなるのです。

 

つまり、お金があればネガティブな出来事に対してもポジティブな姿勢を貫きやすくなるのです。

 

お金持ちのハートが強いのにはこのような心理的な要因があったのです。

 

というわけで、幸せにはなれないが不幸は減るので、お金はあるに越したことはない!ということですね笑。

 

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参考論文

 

Kushlev, Kostadin, Elizabeth W. Dunn, and Richard E. Lucas. “Higher Income Is Associated With Less Daily Sadness but Not More Daily Happiness.” Social Psychological and Personality Science 6, no. 5 (July 2015): 483–89. 

https://doi.org/10.1177/1948550614568161.