くるちょろ心理学研究所

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【組織心理】従業員の不正・悪さ・悪態・ズルを防ぐための4つのポイント

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クリエイターと性格の悪さ

 

前回解説した「ウソとズルをする人に関する研究」では、クリエイティブな人が悪さをするようになる心理について話しました。

 

今回はこの「悪者になる心理」を防ぐための方法について解説していきます。組織作りに興味のある人は参考にしてみてください。

 

まず第一に、クリエイティブな存在であることを組織の中で特別視して優遇すると、クリエイティブな人たちは態度が悪くなります。

 

 ただし、創造性が企業や社会にもたらすことのメリットを考えると、企業では従業員のクリエイティビティを奨励する必要があります。

 

特に現代では、個人のクリエイティビティは成功するために必須の条件とまで言われていますからね。

 

そこで重要なのが、クリエイティビティを奨励しつつクリエイティブな人たちのメンタル面をカバーすることです。

 

 

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クリエイティビティが悪事につながらないための条件

 

実は、人は自分以外にもクリエイティブな人たちが多くいると考えたときには、特別な待遇や給付を受ける権利を感じず、態度も悪化させないということがわかっています。

 

従業員の非倫理的な行動を回避するためには、より多くの従業員が自分自身を創造的な人物であると見なせるように工夫することが役立つのです。

 

そして、そのためには、クリエイティビティが少数の特権階級だけが持てるスキルではないことを上司やリーダーが従業員に示していく必要があります。

 

チームの創造力を養う組織心理のつくりかた

創造性を定義する

 

ここからは、「クリエイティビティが誰でも後から身につけられるスキルであると示すための方法」を紹介していきます。

 

まず最初に、「創造性とは何か」と「創造性ではないもの」を定義して、従業員にも理解できるように2つを明確に区別してください。

 

創造性の定義は、一般的にも科学的にも固定されておらず、私たちがある程度自由に調整することができます。

 

創造性の発揮にはある程度のリスクテイクが含まれますが、マネージャーや上司はリスクを取ることはルールや道徳的なガイドラインを無視することを意味しないと明確に示しておく必要があります。

 

つまり、クリエイティブなことをするために悪さやズルをしていいわけではない!ということをはっきりと伝えておくことが大切なのです。

 

言葉にするとなんだか子供っぽく見えますが、そもそもクリエイティブな人たちは性格が子供っぽいので、これくらいの注意勧告をしておくとちょうど良いのです。

 

創造性は訓練次第で身につけられることを示す

 

次にチームリーダーは、電話やメールのように、創造性は誰もが利用できるスキルのひとつであることを強調します。

 

創造的な考えは、日常の行動の結果もたらされたものである可能性が大いにあります。つまり、クリエイティビティは一部の才能を持つエリートだけの能力ではないのです。

 

たしかに一部の人々は本質的に他の人々よりも創造的な特徴を持っていますが、それはあとから学ぶことができるスキルであり、トレーニングを積めば誰でもそのような特徴を持つことができます。

 

もちろん、リーダーは従業員が創造的であることを評価し、その価値を称賛すべきです。

 

しかし一方で、創造性は希少な才能であり、それを持って生まれた人たちだけが利用できるスキルであると従業員が考えてしまうことを思いとどまらせなくてはいけません。

 

個人が持つアイデンティティとしての創造性ではなく、創造性が持つ文化にチームの焦点を当てることで、不正直な行いが受け入れられるものだと従業員に感じさせることなく、彼らの創造性を十分に刺激することができりようになります。

 

自分たちが創造的であるというイメージをつくる

 

イメージ戦略というと顧客など組織外に向けて行うものだと考えがちですが、組織の中に向けて行うことも有効です。

 

イメージがもたらす心理効果を利用して、自分たちの所属するチームや組織が創造的であるというアイデンティティを強調します。

 

この心理を利用している有名な企業がAppleです。

 

Appleはご存知の通りクリエイティブな企業の一つですが、これは自分たちが創造的な会社であるという考えに基づいて作成されたブランドイメージです。

 

このブランドイメージは確かに私たちの心に影響を及ぼしていることがわかっています。

 

ブランドイメージがもたらす心理効果

 

研究では、Appleのブランドは潜在意識のレベルで、私たちの「創造性」と「変わった思考」に関する脳みその部位を活性化させることがわかっています。

 

このように、組織が「ここに所属する私たち全員が創造的である」という集団的なアイデンティティを作成する場合、創造性はより一般的なものであると組織内では見なされるようになりますが、それでも創造性の価値が低下してしまうことは起こりません。

 

つまり、組織のアイデンティティやイメージをクリエイティビティと結び付けることで、従業員の不正行為を防ぎながらも、彼らのクリエイティビティを刺激することができるのです。

 

 

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倫理と道徳を定義し、ルール化する

 

クリエイティブな人たちを特別扱いをしないためにも、経営幹部とチームリーダーは、倫理的行動と非倫理的行動の境界を明確に定義する必要があります。

 

どこまでの行動が「挑戦」と見なさられ、どこからの行動が「悪事」と見なされるのか、道徳的に正しいことはどれか、それらの見本をわかりやすく従業員に示すのです。

 

これにより、すべての従業員は「創造的」と見なされる人たちを、他のすべての人と同じルールに従わせる勇気を得ることができます。

 

道徳の線が強く明確である場合、不正直な行為を実行に移すことは困難になります。

 

従業員はわかりやすいルールのもとで、間違った行動をしないように、自分の気持ちを律することができるのです。

 

クリエイティブな文化を組織の中につくること

 

創造性を奨励することで、従業員のモチベーションと生産性を高め、組織が激しい競争の中で成功するための新しい方法を見つけるのに役立ちます。

 

しかし、創造性には負の側面もあるため、リーダーはこれをどのように行うかについて注意する必要があります。

 

うまくすれば、組織は創造性のメリットを享受し、デメリットを最小限に抑えることができます。

 

組織内の誰であっても、小さな日常のイベントの中に創造性を発見できるものなのだとリーダーが強調することで、革新的な思考を刺激する文化をあらゆる分野の組織に生み出すことができます。

 

 

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参考論文

 

Lynne C. Vincent and Maryam Kouchaki(2014) Creative, Rare, Entitled, and Dishonest: How Commonality of Creativity in One’s Group Decreases an Individual’s Entitlement and Dishonesty | Academy of Management Journal, Vol. 59, No. 4

https://doi.org/10.5465/amj.2014.1109