くるちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

頭痛薬のバファリンを飲むとイライラや怒りが収まる理由

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怒りは病気?

 

怒りは、私たちが日常生活の欲求不満を発散するための一般的な感情です。

 

しかし、怒りすぎると人間関係にも問題を抱えることにもつながり、最近ではアンガーマネジメントといった概念も生まれて怒りとの向き合い方について再検討されています。

 

さらに研究によると、爆発的な怒りやかんしゃくが、薬物、それも頭痛薬で治療できる可能性があることがわかっています。

 

間欠性爆発性障害(IED、別名;憤怒調節障害)とは?

 

怒りっぽい人はショートテンパーと呼ばれていますが、このショートテンパーの人は間欠性爆発性障害という神経障害を負っている可能性があります。

 

間欠性爆発性障害は、自分で感情を制御できなくなり、他人に罵声を浴びせたり暴力を振るってしまう神経の病気です。

 

この衝動的な怒り、暴力行為は、ちょっとしたことが原因であっても引き起こされたり、まったく関係のないことでも生じたりするのが特徴です。

 

つまり、一言で言うと、間欠性爆発性障害はめちゃくちゃキレっぽくなってしまう病気です。

 

そして今回紹介する研究によると、この神経障害が肉体の炎症が原因で引き起こされている!というのです。

 

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怒りっぽい人ほど炎症レベルが高い

 

2014年に発表されたシカゴ大学のエミール・コッカロ教授の研究によると、間欠性爆発性障害を持つ人たちは、普通の人々と比べて、大幅に体内の炎症レベル(C反応性タンパク質とインターロイキン6の血漿レベル)が高くなっていることがわかりました。

 

この炎症反応は、通常は組織の損傷などの異常が体に生じた際に生じる急性の反応なのですが、慢性的に引き起こされると老化が早まったり、体に別の異常が起きてしまう原因になります。

 

例えば、糖尿病、心血管疾患、アレルギー、関節炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などは慢性的な炎症によって引き起こされる疾患の一例です。

 

今回の研究では、その疾患の一つに「自分では抑えられない衝動的な怒り」があるということがわかったのです。

 

研究者は、炎症状態が人間の攻撃性と関係しているとし、炎症が人に怒りを抱かせる可能性があると述べています。

 

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頭痛薬で怒りが収まる理由

 

さらに、研究者らは、今回の調査結果を踏まえて、アスピリン(鎮痛剤)が発作が起こる前に暴発的な怒りを鎮めることが理論的にはできるだろうと述べています。

 

このような現象が起こる理由は、アスピリンがイブプロフェンなどの非ステロイド薬と同様に、炎症の化学的なプロセスをブロックするからです。

 

つまり、鎮痛剤が炎症を引き起こす化学的な物質を抑制することで炎症レベルが下がり、炎症レベルが下がったことで怒りが爆発することがなくなる!という流れですね。

 

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攻撃的になると炎症レベルが高くなるかも?

 

アスピリン(鎮痛剤)に体内の炎症をブロックしてくれる作用があるのは間違いないので、これは期待の持てる仮説ですね。

 

コッカロ教授によると、炎症が攻撃性を誘発するのか、攻撃的な感情が炎症を引き起こすのか、正確なところはまだわからないのですが、この2つの要素が生物学的につながっていることを示す強力な兆候は今回の調査で見つかったとのことです。

 

因果関係はまだ分からないとのことですが、双方向的な作用が生じていそうですね。

 

もしかすると、怒りを爆発させることで体内の炎症レベルが上がってしまう可能性も考えられるので、やはり怒りはきちんと制御するに越したことはないのです。

 

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炎症はうつ病にもつながる

 

ちなみに、炎症レベルの高さはうつ病とも関連しているので、この数値が高いと何かと心配です。しかも、間欠性爆発性障害はうつ病リスクが4倍も高くなるので、やはり炎症と神経障害には深い関係があるようです。

 

頭痛薬(消炎鎮痛剤)は、日本の市販薬だと「バファリン」や「ロキソニン」が有名ですかね。

 

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参考論文

 

Coccaro EF, Lee R, Coussons-Read M. Elevated Plasma Inflammatory Markers in Individuals With Intermittent Explosive Disorder and Correlation With Aggression in Humans. JAMA Psychiatry. 2014;71(2):158–165. doi:10.1001/jamapsychiatry.2013.3297

https://doi.org/10.1001/jamapsychiatry.2013.3297

Pahwa R, Goyal A, Bansal P, Jialal I. Chronic Inflammation. 2020 Nov 20. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2020 Jan–. PMID: 29630225.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29630225/