【心理的豊かさ】幸せでも成功でもなく、知恵と経験を求める人生について

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心理的に豊かな生活から得られるものとは?

 

今回は、以前に紹介した「心理的豊かさ」についての続きの解説をしていきます。

 

幸せな生活を送る人は、個人的な満足感を得られます。有意義な人生を送っている人は、社会に貢献できます。

 

そして、心理的に豊かな生活を送っている人は、知恵を得ることができます。例えば、次のようなことです。

 

深い知識と広い知識を持つことができる。

より複雑な推論をすることができる。

他人の行動について、複数の原因を考えることができる。

自分の知っていることが絶対的なものではなく、また普遍的なものでもないことを理解できる。

 

心理的に豊かな人たちは、経験を積むことで、さまざまな視点に触れ、人生の複雑さを知ることで、このような知恵を身に着けていきます。

 

どれも社会的な成功や精神の安定に必要なことですね。

 

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挑戦し続ける過程を楽しむのが心理的に豊かな人生

 

心理的に豊かな生活を送っている人は、日常的な活動だけではなく、新しい活動にも取り組んでいます。

 

学生であれば、よりチャレンジングな授業を受講し、単に良い成績を取るのでなく、実際に何かを学ぶことを重視して行動します。

 

たとえば、死の間際でそれぞれの人生を歩んだ人たちは次のように思いを持つでしょう。

 

幸せな人生を送った人は、「楽しかった!」と言う。

有意義な人生を送った人は、「私は変化をもたらした!」と言う。

心理的に豊かな人生を送った人は、「何と素敵な旅だったのだろう!」と言う。

 

先の2つの人生が結果を楽しんだことに対し、心理的に豊かな人生を歩んだ人はプロセスを楽しんでいます。

 

彼らはそれが良いことであろうと悪いことであろうと、経験したことを喜びとしているのです。

 

多くの人たちにとっての「良い人生」とは?

 

研究者らは、心理的豊かさに関する考えをさまざまな国で試すために、インド、シンガポール、アンゴラ、日本、韓国、ノルウェー、ポルトガル、ドイツ、アメリカの9カ国の人々に、理想の人生について語ってもらいました。

 

そして、その人生について、幸福度、有意義さ、心理的な豊かさ(例えば、波乱万丈、面白い)について評価してもらいました。

 

その結果、9カ国すべての人が、理想の人生について上記の3つの要素すべてを高く評価しました。多くの人にとって、3つの人生はどれも素晴らしい人生と言えるのです。

 

では、これらの中から1つだけ選ばなければならないとしたら、結果はどうなるのでしょう?

 

多くの人は成功よりも経験よりも幸せを選ぶ

 

3つの中から1つの人生を選んでもらうと、どの国でも「幸せな人生」が最も多く、次いで「意味のある人生」が挙げられました。やはり幸せになることを人生の目的にする人が最も多いのですね。

 

最も少なかったのは心理的に豊かな人生を選んだ人たちです。

 

数字で見てみますと7%から17%の割合で、幸せな人生や意味のある人生を犠牲にしても、心理的に豊かな人生を選択すると答えた人が各国にいました。

 

心理的に豊かな人生を送る人たちはかなり少数派で、ある意味で変わり者であるとも言えますね。

 

 

独身者は特に心理的に豊かな生活を送る可能性が高い?

 

今回の研究では、結婚や恋愛の状態が異なる人々(独身者と既婚者など)を比較することはありませんでした。しかし、研究者らは次のように述べています。

 

結婚していて、安定した尊敬される仕事と子供を持っている人は、幸せで(多くの点で)意味のある人生を送っているかもしれませんが、必ずしも多様な視点で変化する経験に富んだ人生を送っているわけではありません(中にはそうした人もいるかもしれませんが)。

 

多くの人は、そのような型にはまった、安全で他者からも尊敬される人生を選びますが、一部の人たちはそうした人生の代わりに、型にはまらない、不安定で妥協のない、刺激的な放浪者の人生を選びます。

 

逆に、心理的に豊かな人生を送りたいからこそ、彼らは独身であり続けているとも考えられますね。

 

ということで、次回は独身者と心理的に豊かな人生の関係について見ていきましょう。

 

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参考論文

 

Oishi, S., & Westgate, E. C. (2021). A psychologically rich life: Beyond happiness and meaning. Psychological Review. Advance online publication. 

https://doi.org/10.1037/rev0000317

Spielmann SS, MacDonald G, Maxwell JA, Joel S, Peragine D, Muise A, Impett EA. Settling for less out of fear of being single. J Pers Soc Psychol. 2013 Dec;105(6):1049-1073. doi: 10.1037/a0034628. Epub 2013 Oct 14. PMID: 24128187.

https://doi.org/10.1037/a0034628

MARKS, NADINE F., and JAMES DAVID LAMBERT. “Marital Status Continuity and Change Among Young and Midlife Adults: Longitudinal Effects on Psychological Well-Being.” Journal of Family Issues 19, no. 6 (November 1998): 652–86.

 https://doi.org/10.1177/019251398019006001.

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