社会的時差ボケが起きている人は依存症になりやすい

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社会的時差ボケと病気

 

以前にクロノタイプと社会的時差ボケについて解説しましたが、今回は社会的時差ボケと病気との関連性について解説していきます。

 

簡単に振り返りますと、社会的時差ボケとは「クロノタイプ(体内時計の型)が社会のリズムと合っていないことで起こる時差ボケ(睡眠不足)のこと」です。

  

クロノタイプが朝昼型の人は問題ないのですが、夕夜型の人は朝から起きて仕事や勉強をするのが難しく、どうしても体に無理を強いるかたちになってしまいます。

 

このために睡眠不足になり、日中は時差ボケ状態になってしまっているのです。

 

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夜型の人はメンタルを壊しやすい

 

こうして説明するとわかりやすいのですが、明らかに夜型の人は健康に悪い生活をしているように見えます。

 

そこで実際にクロノタイプが異なる人々を調べた研究を見てみると、なんと日ごろから社会的時差ボケを経験している夜型の人は精神的苦痛を多く感じていることがわかったのです。

 

これは2010年のルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン校(ミュンヘン大学)のマーク・ウィットマン、マーティン・パウルス、ティル・ロエンバーグ博士らの研究です。ロエンバーグ博士は時間生物学の権威として有名です。

 

この研究では、134人の喫煙者と366人の非喫煙者を対象に、彼らのクロノタイプ、喫煙・アルコール消費の関係、心理的幸福度などのデータを分析したところ、喫煙者には夜型のクロノタイプが多く、睡眠に関連する病気の症状がより多く、気分はより落ち込んでいて、心身もバランスを崩しやすく、慎重さのレベルも低いことがわかったのです。

 

以前にも、夜型の人ほど喫煙やアルコールや薬物への依存性が高くなるという傾向が見つかっていましたが、この研究ではそれらの健康に加えて、メンタル面での不調も報告されています。

 

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夜型の人は依存体質になりやすい

 

さらには、夜型の人の中でも、特に喫煙とアルコール消費が多い人ほど心理的苦痛のレベルが増加してしまっていました。

 

当然と言えば当然ですが、やはり夜型の人は寝不足の状態が続きがちで、そのせいでタバコやお酒に頼りがちなってしまうだけではなく、日ごろから疲れなどの心理的にも苦痛を感じてしまっているのです。

 

なかなか辛い話ですね。

 

さらには、2020年に行われたトルコのドクツェイリル大学の研究でも「夜型の人は幸福度が低い!」というダメ押しの結果が出ていて、涙なしには語れません。

 

一応、夜型の人にもメリットはあるのですが。。

 

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睡眠不足がとにかく危険

 

とはいえ、これは朝型の人にとっても他人事でもなく、以前の解説でも人は思春期には夜型になってしまうことがわかっていますので、若い人自身や思春期のお子さんがいる家庭でも注意が必要です。

 

また、朝型であっても睡眠不足になれば、心理的苦痛が増えてメンタルヘルスが悪化するので、夜遅くまで作業をしていたら危険です。

 

夜型の人は倦怠感が強く、活力が少ない

 

また、同じくウィットマン博士とロエンバーグ博士が行った2006年の研究でも、タバコとアルコール、覚せい剤の使用との関連性が見つかっており、夜型の人は抑うつ傾向や倦怠感が高く、活力が低いという結果が出ています。

 

というわけで、夜型の人は、生活時間を調整・変更できるのであれば、なるべく夕夜にずらすようにしましょう。

 

朝型の生活を続けていると、知らないうちにストレスや疲れがたまりやすい生活になってしまいますから。

 

この研究結果は、誰にとっても朝型の生活が正しいとは限らないことを証明するものなので、朝活を無批判に賞賛するのは注意が必要ですね。

 

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参考論文

 

Wittmann M, Paulus M, Roenneberg T. Decreased psychological well-being in late ‘chronotypes’ is mediated by smoking and alcohol consumption. Subst Use Misuse. 2010;45(1-2):15-30. doi: 10.3109/10826080903498952. PMID: 20025436.

https://doi.org/10.3109/10826080903498952

Marc Wittmann、Jenny Dinich、Martha Merrow&Till Roenneberg (2006) Social Jetlag :Misalignment of Biological and Social Time、Chronobiology International、 23: 1-2、497-509、 DOI:10.1080 / 074205205​​00545979

https://doi.org/10.1080/07420520500545979

İsmail Önder. (2020) Association of happiness with morningness – eveningness preference, sleep-related variables and academic performance in university students. Biological Rhythm Research 0:0, pages 1-16.

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/09291016.2020.1848266

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