通勤時間が長くなると起こる3つの悪影響

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通勤時間が健康習慣を破壊する

 

今回も通勤時間の心理学の話です。

 

2009年のブラウン大学のトーマス・ジェームス・クリスチャン博士の研究では、通勤時間が増えるほど、せっかく築き上げてきた健康的な習慣が失われていってしまうことがわかっています。

 

この研究は、2003年~2008年に行われたアメリカ人の健康調査のデータを調べたもので、データを分析したところ、通勤時間と労働時間が増えるにつれて健康関連の活動時間が減少してしまうことがわかったのです。

 

内容を詳しく見てみますと、通勤時間が1分増えるごとに、なんと運動時間が0.0257分、食事準備時間が0.0387分、睡眠時間が0.2205分ずつも減っていってしまうのです。

 

つまり、運動をする時間だけではなく、ヘルシーで栄養価の高い食事を摂る割合も減って、睡眠時間も削られてしまうという何とも悲惨な結果になっているのです。恐ろしいですね。

 

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労働よりも通勤の方が悪影響が大きい

 

しかも、分単位で見ると、通勤による健康習慣のトレードオフは、労働時間による健康習慣のトレードオフを上回ることがわかったのです。

 

つまり、労働時間よりも通勤時間のほうが健康習慣に与える悪影響が大きいのです。何とも意外な結果ですね。

 

クリスチャン博士は、年が無計画無尽蔵に拡大されていくこと(都市のスプロール現象)で、私たちの健康にも被害が出る可能性を示唆しています。

 

都市づくりは私たちの健康にかかわるほどの身近な問題でもあるのですね。

 

 

月に9時間も睡眠時間が削られている

 

総務省統計局の社会生活基本調査によると、日本全国の平均通勤時間は、片道で39分、往復で1時間19分なので、運動時間は月に約60分減少し、食事を準備する時間は約92分減少し、睡眠時間に至っては約530分(約9時間)も減少している計算になります(!)

 

睡眠時間への悪影響が特に大きいですね。。。

 

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ファストフードの消費が増える

 

通勤時間の長さは、スーパーで買える健康的で栄養価の高い食料品ではなく、手軽に買える食品を購入する習慣を強化し、運動活動の時間と強度低下させる可能性を増やしてしまうのです。

 

つまり、通勤時間が増えると、自炊の量が減って加工食品やファストフードの消費が増えて、運動をする時間が減少したり簡単な運動に置き換えられるようになってしまう可能性が高くなる、ということです。

 

というわけで、通勤時間が長い人はできるだけで時間を短くできるように対処していった方がいいでしょう。とはいえ、「すぐに」とはいかないので、長期的に見て改善するという感じですが。

 

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参考論文

 

Christian, Thomas James, Opportunity Costs Surrounding Exercise and Dietary Behaviors: Quantifying Trade-offs Between Commuting Time and Health-Related Activities (October 21, 2009). 

http://doi.org/10.2139/ssrn.1490117

総務省統計局/社会生活基本調査から分かる47都道府県ランキング

https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/rank/index.html

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