くるちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

【健康な性格】健康的な食生活ができる人たちに共通する性格とは?

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野菜をよく食べる性格

 

野菜の消費は私たちの健康の維持に不可欠であり、すべての原因による死亡率と心血管系の死亡率の低下のほか、うつ病の減少に関連しています。

 

しかしそうした事実にもかかわらず、野菜が嫌いだったり野菜をあまり食べない人というのは珍しくありません。

 

これはいったいなぜなのでしょうか?

 

実は、2017年に行われたオタゴ大学(ニュージーランド)心理学部のタムリン・S・コナー、レイチェル・L・ナイト、ジェイド・A・M・フレット、エイミー・C・リチャードソン、ケイト・L・ブルッキー、オークランド大学(ニュージーランド)心理医学部のローラ・M・トンプソン博士らの研究によると、健康な習慣が身に付きやすい性格がいくつかあることがわかっています。

 

この研究では、ビッグファイブパーソナリティ特性(神経質的傾向、外向性、経験への開放性、誠実性、協調性)の個人差が、若年成人の野菜や果物などの植物性食品の消費に影響するかどうかを調査しました。

 

つまり、性格の違いで野菜や果物を食べる傾向が増えたり減ったりするのかどうかを調べたのですね。

 

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健康になる3つの性格

 

この実験では、17歳から25歳の若者1073名を対象に、果物、野菜、そしてポテトチップスなどの不健康な食品を1日にどれくらい摂取しているかが調べられました。

 

また、同時に実験参加者は、性格特性と、性別、年齢、民族、体格指数(BMI)などのデータも調べられました。

 

するとその結果、開放性・外向性・誠実性が高い人は、開放性・外向性・誠実性が低い同世代の若者に比べて、より多くの果物と野菜を食べることがわかったのです。

 

1日平均0.2~0.5皿分多く野菜を食べる

 

具体的な数字を見てみますと、一日のうち、開放性が高いと0.26~0.38サービング、外向性が高いと0.34~0.52サービング、誠実性が高いと0.22~0.38サービングも野菜や果物の摂取量が増えていました。

 

この1サービングというのは一皿分という意味です。次の画像を見てみるとわかりやすいですが、手のひらに乗るサイズと量という感じですね。

 

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つまり、3つの性格特性が高い人たちは、上の画像の4分の1~2分の1くらいの野菜を人より多く毎日食べるということです。

 

年間で250皿分も多く野菜を食べる

 

これらの違いは小さいように見えるかもしれませんが、毎日の食事の違いは、年間および生涯にわたってその人の肉体に蓄積していきます。

 

なので、たとえば年間で考えてみますと、開放性が高い人と低い人とでは、毎年250皿以上も野菜や果物の摂取量が変わることになります。

 

こうしてみると、性格特性の違いがその人の健康レベルにもかなり大きな影響を及ぼしていることがわかりますね。

 

健康になりやすい性格、不健康になりやすい性格というのが存在するのです。

 

ビッグファイブ性格特性の中でも、神経症的傾向と協調性は、果物や野菜の消費とは無関係でした。

 

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野菜を多く食べるようになる理由

 

開放性の高さが野菜の消費量を増やす理由として、研究者は好奇心の高さを挙げています。

 

探索に関連する特徴として、開放性は、若い成人が興味の範囲を広げ、新しくて珍しい食べ物を試し、野菜がもたらす味覚嫌悪の感情を克服する可能性があります。

 

誠実性が野菜を食べる習慣を維持するのは理解しやすいですが、外向性はどのように関連しているのでしょうかね。

 

もしかすると、外向性が高いとほかの人と過ごすことが増えるので、一人きりで適当な食事で済ますということが減るからかもしれません。

 

あるいは、社会性が高いと、人付き合いのイメージを良くするために食事の内容にも気を遣うようになるということも考えられますね。

 

ジャンクフードを食べやすくなる性格

 

また、性格と消費量の関連性は、果物と野菜の摂取だけで見つかり、同時に実験で扱った非健康的な食品に関してはほとんど関係がありませんでした。

 

性格の違いでお菓子やファストフードを食べやすくなるわけではないようですね。

 

一方で、開放性が高いことによりポテトチップスの消費量が少なくなりました。また、高い誠実性と協調性は、フライドポテトとキャンディーの消費量を少なくしました。

 

男性よりも女性のほうが野菜を食べる

 

また、若年成人女性は若年成人男性よりも果物と野菜を多く食べていました。

 

量を見てみると、女性では男性よりも1サービング、つまり約1皿分ほど多く野菜と果物を食べていました。

 

男性は女性よりもフライドポテトを多く食べましたが、女性は男性よりもキャンディーやチョコレートなどの甘いものを多く食べました。

 

しかし、性別の違いよりも個人の性格特性の違いのほうが影響力は大きく出ました。

 

 

知的で真面目な社交家ほど健康になる

 

これらの結果から、知性、好奇心、社会的関与に関連する特性(開放性と外向性)と、規律に関連する特性(誠実性)が、野菜や果物などの植物性食品の消費量と関連していることが示唆されました。

 

つまり、健康的な食生活を続けられるかどうかは、その人の性格が重要であることです。

 

また、こうした性格特性を持たない人たちでは不健康な状態になるリスクがより高くなるので、自分自身で食生活によりつよく注意を向ける必要があります。

 

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参考論文

 

Conner TS, Thompson LM, Knight RL, Flett JA, Richardson AC, Brookie KL. The Role of Personality Traits in Young Adult Fruit and Vegetable Consumption. Front Psychol. 2017 Feb 7;8:119. doi: 10.3389/fpsyg.2017.00119. Erratum in: Front Psychol. 2018 Sep 20;9:1597. PMID: 28223952; PMCID: PMC5293836.

https://doi.org/10.3389/fpsyg.2017.00119