歩き方を見れば人の性格はわかるのか?
過去の研究から、私たちは、他人の顔や声、服装など、ほんの一瞬の表情から、驚くほど多くの正確な情報を得ていることがわかっています。
では、歩き方ではどうでしょうか。歩き方を見れば、その人の性格や考え方は見破れるものなのでしょうか?
2012年におこなわれたダラム大学(イギリス)心理学部のジョン・トレセン、ニューカッスル大学(イギリス)神経科学研究所のコック・C・ヴォン博士らの研究では、私たちはただ歩き方を見ただけで、その人がどんな性格なのか?を頭の中で予測していることがわかっています。
この心理実験では、24名の実験参加者の人たちに歩行している人の動画を見てもらい、どのようなシグナルを見て歩行者の性格を直感的に判断しているのかを調査しました。その結果、主に2つの要因を特定することができました。
その2つの要因とは、広がりのある歩き方とゆっくりとした歩き方です。
開放的に歩くと信頼感が増す
性格のイメージを決める一つの動きは、広がりのあるゆったりした歩き方で、これは冒険心、外向性、信頼性、温厚さの表れだと解釈されます。
つまり、身体を大きく見せるような開放的な感じで歩くと、その人は冒険好きな外向家で、かつ信頼感があって、性格も優しいイメージを持たれるようになるのです。
ゆっくり歩くとメンタルが強そうに見える
もう一つの動きは、ゆっくりとリラックスした歩行スタイルで、この歩き方は神経症的傾向が低いことの表れであると解釈されました。
つまり、ゆっくりとした歩き方をすると、細かいことを気にして悩みがちになってしまう神経症的な性格に見られにくく、精神的に健康な人物に見えるようになったのです。
間違った印象形成
ただし、面白いことに、歩き方はこのように見る人の認識とつながっているにもかかわらず、この2つの歩行スタイルは、実際には歩行者の実際の性格と関連していませんでした。
つまり、その人の歩き方から、優しそうに見える!神経質じゃなさそうに見える!と感じても、実際にはその予測はまったく当たっていないのです。うーん、残念ですね。
別の研究では開放的な動きと自信の高さには関連が見られるため、一見すると、開放的な歩き方やゆっくりとしたした歩き方は上記のような性格である可能性が高いように思えますが、まったく関係がないのですね。
幸せな気分を増やしたかったら歩き方にも注意しましょう。顔を上げて姿勢を正し、手を大きく振って自分が元気な人のイメージで歩くのです。こうして歩き方を変えるだけでもメンタルに良い影響を与えることができます。元気がなくなってきたと感じたら歩き方に注意を払ってみてください。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) March 11, 2020
それでもイメージは作られる
たしかに、「開放的な歩き方=外向的」「ゆっくりとした歩き方=メンタルが健康」というイメージは実際には間違っているのですが、私たちは直感的にそのように感じてしまいます。
実際に追加の実験では、歩行者の歩き方を上記のように操作してみたところ、印象も操作することができていました。
というわけで、少しでも第一印象を良くしたい人は開放的でリラックスした歩き方を実践してみてください。プレゼンのときとかにもいいですね。

参考論文
Thoresen JC, Vuong QC, and Atkinson AP (2012). First impressions: Gait cues drive reliable trait judgements. Cognition, 124 (3), 261-71 PMID: 22717166