内向的でも外向的でもない人
これまで外向性と内向性については解説してきましたが、多くの人はそのどちらにも当てはまることなく、それらの中間に位置した性質を持っています。
今回は、その両者の性質を併せ持つ、外向性と内向性のあいだに位置する両向性(ambiversion)について見ていきましょう。
両向的な人とは?
両向的な人(ambivert)とは、内向性と外向性の両方の性質を持ち、そのときの気分や状況、あるいは目的によって内向と外向のどちらにも転じることができる人たちのことを指します。
両向型の人たちには次のような呼ばれ方もあります。
外向的な内向型人間:内向的でありながら、特定の状況、特定の人々、または必要なときに外向的になることができる人。
反社会的外向型人間:社交の前に一人でエネルギーを充電する時間が必要な外向型、または典型的な外向型よりも一人でいるのが好きな外向型の人。
社会的内向型人間:必要なときに外向的になることができる内向的な人。
両向型の人には柔軟性がある
外向性と内向性は人が人にどう反応するかを表していますが、両向性を持つ人は人に対する反応に柔軟性があります。
たとえば、適切な状況、適切な気分、適切な人といるとき、両向的な人は外向的になることができます。
しかし、苦手な状況、疲れているとき、不機嫌なとき、有害な人々に囲まれているときなどは内向的になります。
つまり、一人きりで過ごすか、あるいは多人数のグループで過ごしたいと思うかは時と場合によるのが両向型の人です。そう聞くと、ほとんどの人が自分は両向型の人間だと思うことでしょう。
自分が大切だと思う価値観を守るように行動すると、人の性格は大きく変わっていくようになる。サクセスストーリーなどで、堕落した人物があるとき大事なものに気づいて一念発起するというものがあるが、これは実際に起こる。価値観を守るために、人は自分の性格すらも変えてしまうのだ。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2022年3月29日
多くの人は両向型
実際に多くの研究者も、内向型の人も外向型の人も人口に占める割合は少数派で(どちらも多くて25%程度とされる)、多くの人は両向型の人であると述べています。両向型は3分の2を占めるとも言われています。
まぁ考えてみれば、極端な性格の人のほうが少ないものなので当たり前と言えば当たり前ですよね。
陰キャ、陽キャという呼称がありますが、多くの人は陰キャでも陽キャでもないでしょう。
外向性(または内向性)をスペクトラムとしてとらえると、両端にいる人は少なく、多くの人が真ん中あたりに集まるのです。
参考論文
Cohen D, Schmidt JP. Ambiversion: characteristics of midrange responders on the Introversion-Extraversion continuum. J Pers Assess. 1979 Oct;43(5):514-6. doi: 10.1207/s15327752jpa4305_14. PMID: 16367029.
https://doi.org/10.1207/s15327752jpa4305_14
Davidson IJ. The ambivert: A failed attempt at a normal personality. J Hist Behav Sci. 2017 Sep;53(4):313-331. doi: 10.1002/jhbs.21868. Epub 2017 Sep 19. PMID: 28926096.