適量のお酒は健康に良い?
昔から「適量ならばアルコールは健康に良い」と言われてきましたが、最新の研究結果はこれを否定しています。
今回紹介するのは、エモリー大学医学部内科および精神科学科のサラ・M・ハーツ、ブラッドリー・J・ファーガソン、ジーナ・R・クルーズ、ダスティン・C・リー、ハーバード大学医学大学院精神医学および心理社会学部のベンジャミン・I・サックス、ダン・R・ロンゴ、ワシントン大学医学部精神科学科のリチャード・A・グルクザ、ローラ・J・ビエルット博士らの研究(2023年)です。
この研究はメタ分析と呼ばれる手法を使用して、過去に行われた84の研究、約690万人を対象に、アルコールの摂取量と、がん、心血管疾患、急性および慢性の肝疾患、脳卒中、および全死亡率のリスクとの関連を評価・分析したものです。
すると、「1日1杯未満のレベルであっても、癌や心臓病など、さまざまな原因に起因する死亡の全体的なリスクを高める可能性がある」
つまり、お酒に適量は存在しないという結果になったのです。酒好きには悲報ですね。
1週間に14杯以下が推奨
研究結果では、アルコール摂取量が少ない程度(1週間当たり14杯以下)でも、健康リスクが増加することが示されました。1日当たり2杯のお酒もダメってことですね。
より具体的には、たとえ少量であってもアルコールを摂取することによって、がん、心血管疾患、外傷、感染症、精神疾患などのリスクが増加することがわかりました。
もちろんお酒を飲まなければそれだけ健康になれますが、飲酒するのであればこの範囲内に収めれば死亡のリスクを最小限にすることができます。
女性のほうが飲酒ダメージが大きい
また、アルコールと健康との関連性については、男性と女性では結果が異なることが示されました。
女性の場合、アルコール摂取量が増えるほど、健康リスクが増加する傾向がより強くなりました。
女性のほうが男性よりも体が小さい分、アルコール摂取による悪影響が大きく出てしまうようです。
というわけで、早死にしたくない人はなるべくお酒を飲まないようにしましょう。特に体の小さな女性は飲酒量により気を配ったほうがいいでしょう。
参考論文
Zhao J, Stockwell T, Naimi T, Churchill S, Clay J, Sherk A. Association Between Daily Alcohol Intake and Risk of All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-analyses. JAMA Netw Open. 2023;6(3):e236185. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.6185