人が持つ体内時計のシステム
私たちはみんな体内に概日リズムを刻んでいる時計を持っています。私たちの活動をコントロールしているこのマスタークロックは、脳の視床下部にある翼状(あるいは卵形)の視交叉上核という場所にあります。
視床下部は、交感神経・副交感神経機能に関わるホルモンの放出から体温や水分摂取量の調節まで、あらゆる種類の身体機能をコントロールしています。人間の基本的な活動の多くをここで受け持っているのです。
体内時計のタイプは人によって違う
私たちの体内時計は、光によって毎日リセットされています。地球の一日は24時間なので、誰もが同じようなスケジュールで体内時計を動かしていると思うかもしれませんが、実はそうではありません。人によって体内時計の進み方は異なるのです。
さらにこの体内時計は年齢によっても変化が起きることがわかっています。
体内時計は年齢によって変化する
サリー大学睡眠研究センターのデルク・ジャン・ダイク博士は、私たちの体内時計は生涯に渡って固定されているわけではないと話しています。
例えば現役世代の成人に比べて、小さな子供やお年寄りは同じように早起きをしがちです。これらの体内時計の違いは、進化心理学的には見張りの時間を分散させるためと言われています。
みんなが寝てしまったら敵が襲ってきたときや不測の事態が起きた時に対応できないので、年齢によって体内時計をずらし、自然と見張り役が生まれるようにしたのです。
しかし、あなたの体内時計の速度がどれだけ速かろうとも、私たちは9時から5時までの労働時間が設定されている社会に合わせなければなりません。これは社会システムの設計ミスかもしれません。
若者が早起きできない科学的な理由
一般的に10代の若者にとっては、朝早く起きるのは特に難しいことです。彼らは思春期の訪れとともに夜更かしをするようにもなっているからです。
つまり、私たちは幼年時代を早起きの体内時計で過ごし、10代になって夜更かしをするようになり、社会に出るようになって一般的な昼の活動時間帯に時計が合うようになるのです。そして老後はまた早起きの時計に戻っていきます。
というわけで、子どもに朝ゆっくり眠ってもらうのが困難なように、若者に早起きさせることも困難なのです。
無理に早起きしても力は発揮できない
人間の活動時間はこうした時間遺伝子によって決まっているので、活動に適していない時間帯に無理に起きるのは難しく、また起きれたとしても満足に能力を発揮することはできません。
なので、本来ならばその人の年齢に合わせて学校の時間や仕事の時間も変えた方がいいのですね。10代の若者が朝起きれなくても叱らないであげてください。