カリスマ性とはなにか?
今回はカリスマの心理学です。カリスマという言葉は昔に一時流行りましたが、最近はあまり聞かない言葉かもしれません。
カリスマ性というのは端的に言うと、「周りからすごい人に思われる能力」という感じです。
これは社会的な地位を高めるためにも役立つ能力で、偉くなりたい人や部下に言うことを聞かせたい人に必須の才能ですね。
2015年に行われたクイーンズランド大学心理学部のウィリアム・フォン・ヒッペル、アーネスト・ベイカー、キャスリーン・ケルサース、ショーン・マーフィー、アムステルダム自由大学実験応用心理学部のリチャード・ロネイ博士らの実験では、417名の学生を対象に「どのようなことをすればカリスマ性が高いとみなされるのか?」という心理について調査しました。
答えを出すのが早い人はカリスマ
まずは全員にIQテストと性格テストを受けてもらてもらい、その後で各自のメンタルスピードというものを計りました。
メンタルスピードというのは認知的なスピードです。
例えば、一般常識の問題をどれだけ早く答えられるか、簡単なパズルの問題をどれだけ早く解くことができるか、といった感じです。頭の回転の速さを調べたのですね。
そして最後に、参加者の友人に各自のカリスマ度を評価してもらったのです。友人にまで協力してもらうのは大がかりな実験ですね。
すると、問題に速く答えた人ほどカリスマ性が高いと思われていた!ことがわかったのです。
ただ頭が良くてもカリスマにはなれない
また一方で、IQの高さと性格の良さはカリスマ性とは関係がありませんでした。
これはつまり、頭が良いからカリスマだと思われるのではなく、ある問題に対して素早く答えを出せる人がカリスマだと思われるということです。
例えば、会話をする際に相手により素早く自分の考えや返事を返すことができれば、「この人はすごい人だ!」と思われるのです。
有名な戦略書の一つである中国の孫子兵法にも「拙速は巧遅に勝る」という言葉がありますね。クオリティは低くなっても速い人が勝つという意味です。
とにかく簡単な問題をたくさん解け!
研究者は、IQや頭の良さはカリスマ性と関係がなく、重要なのはメンタルスピードだと結論付けています。
自身のカリスマ性を上げたいのなら、難しい問題に正しい答えを出す必要はなく、簡単な問いかけに素早く答えることを繰り返すことの方が大事なのです。
なので、相手にカリスマだと思われたいときには一問一答みたいな感じで、バンバン簡単な問題を解決していけばいいのですね。
よく成功者の間では「仕事ができる人ほどレスが速い!」と言われていますが、これも関係あるのかもしれませんね。
今回の心理効果は、就職面接などの才能を見極められる場面で役立つので思い出してみてください。
参考論文
von Hippel W, Ronay R, Baker E, Kjelsaas K, Murphy SC. Quick Thinkers Are Smooth Talkers: Mental Speed Facilitates Charisma. Psychol Sci. 2016 Jan;27(1):119-22. doi: 10.1177/0956797615616255. Epub 2015 Nov 30. PMID: 26621964.