【ホラー好き】恐怖をあおる作品を鑑賞するとメンタルが強くなる

ストレスの心理学
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ホラーが好きな人の心理

 

意外に思えるかもしれませんが、映画や小説の中で語られるディストピアやホラーの物語は、多くの人にとって心の癒しになることがあります。

 

フィクションという作品の中で疑似的な恐怖を体験することで、私たちは本当の恐怖と戦う準備をしているのです。

 

もしもあなたが「リング」のようなオバケ映画や、「ウォーキング・デッド」のようなゾンビドラマが好きだと感じるのなら、それには心理的な理由が隠されています。

 

ホラー映画でネガティブ感情を制御

 

オーフス大学(デンマーク)英文学部のマティアス・クラセン、イェンス・ケルドガード=クリスチャンセン、ペンシルバニア州立大学心理学部のジョン・A・ジョンソン博士らが1,070人を対象におこなった2020年の研究によると、ホラーが好きな人ほど恐怖に対する感情のコントロールが上手であることがわかっています。

 

これはホラー作品の鑑賞が感情をコントロールするための訓練になっているからです。

 

ホラー作品のファンは感情をコントロールする練習を日ごろからすることにより、恐怖に反応する回避メカニズム(無理に嫌なことを忘れようとするなど)を使うことが少なくなります。

 

その結果、ホラー作品を見る人ほど恐怖に対する感情の扱いが得意になるのです。フィクションによる疑似的な恐怖であっても、現実的な問題に応用できるのですね。

 

つまり、ホラー映画を見て恐怖や不安といったネガティブな感情の扱いを練習することで、実際に嫌なことがあったときにもうまく対処できるようになるのです。素晴らしい!

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ホラー作品でメンタルが強くなる理由

 

奇妙に聞こえるかもしれませんが、スプラッターやホラーを題材にしたメディア作品は人間の不安を軽減することに役立ちます。

 

このようなメカニズムが働く理由は、ホラー作品を見るときに起こる脳内の神経学的な変化にあります。

 

実は、ホラー映画の恐ろしいシーンやスプラッター映画の過剰に暴力的なシーンは、アドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンを急増させます。

 

これによって、私たちが実際の危険に対して経験する闘争逃走反応と同じような効果を心理的にもたらします。

 

しかし、一方で映画を見ているとき、私たちは自分が安全であることを十分に認識しています。

 

そのため、感情調節能力が非常に効果的に働き、これらの感情を自分自身の力で和らげることができるのです。

 

このように、自分が感情をコントロールできる環境で恐怖を体験することは、心理的なメリットをもたらすことがあるのです。

 

速攻で不安を和らげる効果もある

 

さらに、現実の問題に対して持続的な不安を感じている人がいる場合でも、ディストピアやホラーを扱った作品は、脅威の認識を現実からフィクションに一時的に移行させるため、効果的な心の逃避先になります。

 

つまり、不安を感じているときにホラー映画を見ることで、一時的にメンタルを回復させて戦闘準備を整えることができるのです。

 

このように、脅威的なシナリオのシミュレーションを通じてネガティブな感情を積極的に味わおうとすることを「良性マゾヒズム(benign masochism)」と言います。

 

別の言い方をするのなら、「健康に良いドM体験」といったところですね。やはりドMは最強なのかもしれません笑。

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恐怖の後に幸福がやってくる

 

最後に、この種のホラー系メディアを見ることで得られるアドレナリンとコルチゾールのラッシュの余波として、脳波の活動が全体的に低下し、ポジティブな気分になることもわかっています。

 

つまり、不安やストレスのあとに心地よい感覚が訪れるのです。ホラー作品を見ているときを想像してみれば何となくわかりますよね。

 

これは、例えるのなら、走行中のランナーが身体に課せられたストレスの後に「ハイ」の状態になるのと同じ現象です。

 

ほかにも、筋トレやサウナなどもストレスを適度に与えるという同じ理屈で健康に良いです。これらもハイな状態をつくっています。

 

今回の研究では、こうした肉体的なストレスだけではなく、精神的なストレスにおいても同じような効果が認められることがわかったのですね。

 

いわば、ホラーハイと呼べるようなものです。

 

性格によって好きなホラーが決まる

 

もうひとつ面白いことに、超常現象への信仰が強い人は超常現象的な内容のホラーメディアを求める傾向があり(オバケとか悪魔とか)、超常現象への信仰が弱い人は自然な内容のホラーメディア(災害とか犯罪とか)に引き寄せられる傾向がありました。

 

このことから、人は自分の中でもっともらしいと感じられる脅威刺激を持つホラーメディアを求めていることが示唆されています。

 

つまり、好きなホラージャンルを聞けば、その人の超常現象に対する姿勢もある程度はわかってしまうのですね。

 

このサイトを見ている人は、おそらくより自然的なホラー作品が好みの人が多いでしょう。ちなみに、私も科学的な説明がある作品のほうが好きです。

 

ほかにも、男性のほうがホラー好きな傾向もありました。

 

賢い人ほどホラー好き

 

また研究によると、感情の体験を求める性格特性(sensation-seeking personality)が高い人や、知性・想像力が高い人にとっては、ディストピアやホラーメディアは特に楽しいと感じられることもわかっています。

 

これは逆に言えば、ホラー好きな人ほど頭が良かったりクリエイティブな可能性が高い!ということです。ホラーマニアは歓喜!

 

もしかすると、クリエイターの人ほどホラー映画が好きな傾向があるのかもしれませんね。

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参考論文

 

Clasen, M., Kjeldgaard-Christiansen, J., & Johnson, J. A. (2020). Horror, personality, and threat simulation: A survey on the psychology of scary media. Evolutionary Behavioral Sciences, 14(3), 213–230

https://doi.org/10.1037/ebs0000152

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