中年は最高
以前に中年の危機に関する心理的な解説をしましたが、今回は最高の中年時代を生きるための心理的な考え方について解説をしていきます。
老化や年を取ると考えると、人生で最も輝いているのは若者として遊べる時代のように思えますが、研究によると、私たちは若者時代に謳歌できた楽しみを人生の後半でも楽しめることができるとわかっています。
2010年に中年の危機についての調査を行ったテルアビブ大学(イスラエル)心理学部のカルロ・ストレンガー教授は、「中年期は人生のなかで最も活気に溢れていて、人々が成長していくのに最良の時期である」と述べています。
この調査によると、確かに肉体的な衰えはあるのですが、不幸なイベントが続くといったような中年期の危機は人生の中には見当たらず、現代の人々はより長く、より充実した人生を送ることができていることがわかっています。
中年期が最高の時期になる理由
このような傾向があるのは、ほとんどの人たちは自分自身や社会の仕組みについて詳しく知ることなく、人生における重大な選択を若いうちにこなしているからです。
結婚、子育て、就職、就学、住む場所の選択といった人生に大きく影響を与えることは、若いうちにすべて決定されてしまいますよね。
それに比べて中年期には、これまでの35年以上に培われた豊富な知識と経験があるので、幸せになりやすいのです。
他の研究と合わせて考えても、年を取っている人のほうがメンタルの健康面でも優秀だとわかっているので、これは非常に納得できる話です。
現代の中年は歴史上最高の人生を味わっている
さらに現代では医療、教育、テクノロジーのレベルが上昇しているのでこれまで以上に楽しく中年期を過ごすことができるようになっているとのこと、年を取るのに最適な時代を今の私たちは生きているようです。
それでもうまく中年期を乗りこなせない人たちのために、博士は、中年の危機を回避するアドバイスを提示してくれています。
中年期を最高にする科学的なヒント
中年期を人生最高の時代にするための科学的なヒントは次の4つです。
- これまでに学んだことについて考え、利用する
- これまでの自分自身について知ったことを活かす
- 臆することなく新しい変化を起こす
- これまで築き上げてきた人間関係を利用する
これまでに学んだことについて考え、利用する
人生の前半で自分についてよく学び、その知識を活かすようにすることで、人生の後半も最高に豊かになります。
これが最も最初に行うべきことで、さらにはこれが最も重要なことでもあるとストレンガー教授は述べています。
これをする過程で、特に自分の将来をどう生きていくのかを考え、よく理解することが大切です。
これまでの自分自身について知ったことを活かす
これまでの経験の中で知ることができた自分自身のことについて考えて整理します。
これは本当のあなた自身にまつわることでなければいけません。例えば、若い頃に両親に期待された理想像でなければ、周りの人間や社会があなたに期待しているような理想像でもありません。
自分はどんな性格で、どんなものを望んでいて、どんなものが苦手で得意なのか。
また、これまでの人生の中を振り返って、自分の中で最強の能力であると思えるもの、そしてあなた自身が最も喜べるものについて考えてください。
つまりは人生の価値観についてここで整理しておくのですね。
臆することなく新しい変化を起こす
あなたがこれからの人生で注げるエネルギーは限られている
三つ目に、新しい変化を起こす際に現れる困難な障害や不安を恐れないことです。
自分の人生にあとどれだけの時間が残っているかがわかったら、新しい変化を起こすためにエネルギーを投資することは、非常に価値があることであると理解できるようになります。
新しい仕事を始める大きなメリット
たとえば、博士は新しい仕事やキャリアの選択をすることをおすすめしています。
中年期のあなたは、若いときの盲目的な理由ではなく、35年以上の知識と経験に基づいて選択することができます。
なので、年を取ってから重要な選択をすることは、若い時に行った選択よりも、大いに成功をゲットできるチャンスがあるのです。
これまで築き上げてきた人間関係を利用する
最後に、自分をサポートしてくれる人的ネットワークを利用することが絶対に必要であると博士は述べています。
親しい人と今後の人生について話し合う
そのために私たちは、同僚、友人、家族といった人たちと、人生の大きな変化について話し合う必要があります。
あなたのことを最もよく知っている人は、あなたが望むであろう新しい人生で、最もよくサポートすることができるからです。
セラピストやカウンセラーを利用する
さらに必要に応じて、専門のセラピストやカウンセラーを利用することをおすすめしています。
海外だとカウンセラーやセラピストにかかるのはわりと一般的ですからね。日本だと驚かれるかもしれませんが、客観的な目線でアドバイスをくれるのでおすすめです。
といった感じです。いま中年であるみなさま、そしてこれから中年になる若者のみなさまは今回の話を参考にして、最高の中年人生を歩んでいってください。
参考論文
How to live your life twice: Psychologist busts a myth and offers tips to counter a mid-life crisis