気分が悪くなるクリスマス効果とは?
実はクリスマス効果(The christmas effect, またはクリスマス現象, Christmas phenomena)と呼ばれる心理現象が、いつからか都市伝説のように存在しています。
これは、クリスマスの前後に病気や自殺や自傷行為、ドラッグの乱用などが増えるというものです。
今回はこのクリスマス効果について解説していきます。
クリスマス効果について調べた研究
ライト州立大学(アメリカ)医学部のランディ・A・サンソーネ教授と ロリ・Aサンソーネ博士らは、1980年から2011年までのクリスマス、自殺、うつ病、精神障害、自傷行為に関する調査を集め、クリスマス効果が実際に存在するのかを調べました。
するとその結果、クリスマス休暇の前後には、個人の全般的な気分の悪化やアルコール関連の死亡事故が増加する可能性はあるのですが、救急室や入院病棟における精神科患者の利用パターンは全体的に低く、自傷行為や自殺未遂・自殺の割合も低いことがわかりました。
つまり、クリスマス効果は部分的には本当なのですが、当初考えられていたものよりも内容は悪くはなかったのです。
クリスマス中はうつになるが自殺は減る
これらの研究によって示された全体的な傾向によれば、クリスマス休暇は2つの大きなパターンをもたらすようです。
確かに、クリスマス休暇中には、気分の悪化(抑うつ症状)やアルコールに関連した死亡事故など、ある種の精神病理が増加するようです。
しかし、それとは対照的に、精神科救急サービスや入院の利用、自傷行為、自殺未遂・自殺は、クリスマス休暇中には減少するようです。
年末年始のリバウンドが危険
ただひとつだけ注意があって、精神疾患、自傷行為、自殺未遂・自殺の減少は、クリスマス休暇の後(年末年始)で、リバウンド現象を起こし、悪化する傾向も見つかりました。
つまり、クリスマスの最中はイベントを楽しめて体調も大丈夫なのですが、そのあとでリバウンドが起きて急に精神的な症状が悪くなってしまうのです。
連休の後で何もする気が起きなくなるという感じでしょうか。一般的な人でも年末年始は仕事に戻りたくない気持ちになりますが、それと似たような気持ちの変動が起こるのです。
これらの結果は、クリスマス休暇中に一般的な精神病理が増加することはなく、むしろ不快な気分が増加すると報告した過去の研究レビューの結果とも一致しています。
クリスマス効果と言って、クリスマスの前後は自殺率や精神疾患の発病率が下がるのですが、そのあとでより戻しが起こってこれらのリスクが増します。なので、年末年始は体重管理と一緒にメンタルヘルスの管理にもお気を付けてください。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) December 28, 2020
クリスマス中の孤独に注意
というわけで、クリスマスは、気分障害とアルコール関連中毒を除いて、多くの精神病理に関して一般に保護効果を示しています。
年末年始のリバウンド、クリスマス中の気分の落ち込みとアルコールの乱用にさえ気を付ければ、クリスマスはポジティブな効果のほうが大きいようです。
ちなみに、気分が落ち込む人が挙げたストレスの主な原因は、孤独(40%)と家族がいないこと(38%)でした。
やはり自分が孤独な時に世間が楽しそうにしていると、より孤独感と気分の落ち込みが増してしまうのです。

参考論文
Sansone RA, Sansone LA. The christmas effect on psychopathology. Innov Clin Neurosci. 2011 Dec;8(12):10-3. PMID: 22247812; PMCID: PMC3257984.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22247812/
Friedberg, R. D. (1990-1991). Holidays and emotional distress: Not the villains they are perceived to be. Psychology: A Journal of Human Behavior, 27(4), 59–61.