フレーミングの心理効果とは?
フレーミング効果とは、たとえ同じ内容であっても、情報の提示方法の違いによって選択肢の好みが影響を受けて評価や意思決定が変わってしまう心理現象のことです。
同じことを言っているのに伝え方ひとつで印象が変わったように思えるのは、このフレーミング効果の作用によるものです。この心理作用により、見せ方や表現を変えることで情報の印象を意図的に変えることができます。
例えば、ハーバード医科大学のバーバラ・J・マクニール博士、スタンフォード大学のエイモス・トベルスキー博士らの行った研究では、情報を提示方法を変えるだけで相手の判断を変えることができるとわかっています。
同じ内容なのに答えは逆になる
実験は慢性疾患の異なる外来患者238人と、大学院生491人と医師424人を対象に行われました。
まず彼らに肺がんの手術と放射線療法の結果をまとめたデータを提示しました。それから自分が肺癌にかかっていると想像してもらい、医師から提示された2つの治療法のどちらかを選択するように依頼しました。
すると、実験参加者の人たちは死亡の確率ではなく生存の確率について説明された治療法を選ぶ傾向があったのです。
つまり、「手術が失敗して死亡してしまうリスクは30%です」と言われた場合には手術よりも放射線治療を選ぶ人が多かったのに対し、「この手術では70%の確率で成功し生存できます」と言われた場合には手術の方が治療法として選ばれやすくなったのです。
医学の専門家である医師や医学生ですら、この心理操作に逆らうことができなかったのです。
人は無意識にフレームを使って考えている
これは、死亡ではなく生存の方にフレーミングされた文章によって意識させられたために起こる心理効果です。たとえ言っていることの中身は同じでも、言い方ひとつで相手の選択は変わってしまうのです。
このような心理現象が起こるのは、私たちが常に無意識的に解釈の枠組みを使って思考しているからです。
つまり、生存と言われると生存についての話だと無意識に考えるのに対し、死亡と言われると死亡についての話だと無意識に考えてしまうのです。その結果、生存について話しているときの方が治療法として手術を選びやすくなったのです。