マインドフルネスの5つの側面と心の健康:年齢別の効果と実践法

フロー・マインドフルネス・集中力
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マインドフルネスが人生全体に与える影響

幸福度を上げる研究について

マインドフルネスというと一般的には、現在の瞬間に注意を向け、評価せずに体験を受け入れることを指します。

トロント大学心理学部のサラ・L・シャピロ、ジョン・M・ロバーツ、エミリー・K・トンプソン、マイケル・J・グリーン博士らによって2024年に発表されたこの研究では、マインドフルネスの定義をさらに細かく分析し、マインドフルネスを構成する5つの要素を導き出しています。

さらに、ここで導き出されたマインドフルネス異なる要素が人生全体にわたる幸福感とメンタルヘルスにどのように影響するかを調査しました。

この研究では、カナダの14歳から90歳までの1,600人の参加者を対象に、マインドフルネスの5つの側面、生活満足度、存在的幸福感、そして不安、うつ、ストレス症状を測定しました。

 

マインドフルネスが人生に与える影響

これまでの研究では、マインドフルネスがメンタルヘルスや幸福感に対して肯定的な影響を持つことが示されていますが、人生全体にわたる影響については十分に理解されていませんでした。

この研究は、異なる年齢層におけるマインドフルネスの効果を明らかにすることを目的としています。

つまり、マインドフルネスの短期的な効果についてはこれまでの研究でわかってきていますが、人生全体を通しての長期的な影響力はどうなのかを調べたのですね。

 

方法

参加者は、マインドフルネスの5つの側面(観察、説明、自覚的な行動、非判断的な態度、反応しない態度)に関する質問票に回答しました。

この研究では単にマインドフルネスについて聞いただけではなく、さらに5つの要素に絞ってどの要素が実際に効果があるのかを調べたのですね。

また、生活満足度、存在的幸福感、不安、うつ、ストレス症状についても評価されました。

 

マインドフルネスの5つの側面

この研究で示されたマインドフルネスの5つの要素とは次のものです。

  1. 観察: 内的および外的な体験に気づくこと。自分の思考や感情、身体の感覚、周囲の環境に注意を向けること。
  2. 説明: 体験を言葉で表現する能力。自分の感じていることや考えていることを具体的に言葉にすることが含まれる。
  3. 自覚的な行動: 今この瞬間の活動に注意を向け、意識的に行動すること。自動的な反応ではなく、意図的な行動を取ること。
  4. 非判断的な態度: 内的体験を評価せず、そのまま受け入れること。良い悪いと判断せずに、ただその体験を観察すること。
  5. 反応しない態度: 感情や思考に即座に反応せず、まずはそれを認めること。感情に振り回されず、冷静に対処すること。

 

マインドフルネスの中で最も重要なもの

さて、研究の結果、高いマインドフルネス(または中程度のマインドフルネス)と非判断的な態度の能力が高い人々は、一般的に年齢が高く、メンタルヘルスと幸福感が最も良好であることがわかりました。

一方、低いマインドフルネスと判断的な観察の能力が高い人々は、他の人たちに比べてメンタルヘルスが悪化していました。

この結果から、マインドフルネスの5つの要素の中では、物事の良し悪しを判断しない「非判断的な態度」がメンタルヘルスを良好にし、幸福感を高める上で重要であることがわかりました。

 

個性に合わせてマインドフルネスの方法を変える

この研究の結果は、マインドフルネスを実践する際に、個々の特性や年齢に応じたアプローチが重要であることを示しています。

例えば、研究では年齢によってそれぞれ得意なマインドフルネスの要素が異なるとなっていますが、このことを考慮に入れて、若年層には観察や説明の側面を強調し、高齢者には非判断的な態度を重視することで、より効果的なメンタルヘルスの改善が期待できます。

また、マインドフルネスのトレーニングプログラムやセラピーにおいても、個々の能力に応じてカスタマイズする方がより効果が期待できるでしょう。

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