通勤ストレスが与える心理的影響力
今回は通勤時間とストレス、そしてそれらが仕事に与える心理的な影響について解説します。
日本で行われた調査によると、通勤時間が少なければ少ないほど仕事の満足度が高くなり、ストレスも低くなるということがわかっています。
想像してみると当然ですが、通勤時間が短ければ短いほど心理的にはプラスに働きます。ただし、多くの人はこの通勤時のストレスを過小評価しがちです。
2019年のザイマックス不動産総合研究所が、15~69歳の日本の男女20,000人を対象に行った調査によると、現在日本の労働者の通勤時間の平均は49分であることがわかっています。
具体的な分布図を見てみると、通勤時間が40分以上60分未満の人たちが27.4%、60分以上90分未満の人たちが27.2%となったいまして、労働している人の実に4分の1もの人たちが1時間以上の満員電車に耐えてながら通勤をしているという状態になっています。
4分の1もの人たちが通勤だけで毎日1時間も時間を使ってしまっているのだと考えると、かなり大きな損失に思えます。テレワーク、リモートワークがうまく導入されればこの時間が省けるので、全体の幸福度も上がりそうですね。
通勤ストレスが少ない人ほど幸せな結果に
超結果を見てみますと、次のようなことがわかりました。
- 通勤ストレスが低いグループほど仕事満足度が高い
- 通勤ストレスが低いグループほどプライベートの満足度が高い
- 通勤ストレスが低いグループほど会社へのエンゲージメントが高い
- 通勤ストレスが低いグループほど仕事を楽しんでいる
といった感じで、通勤ストレスが少ない人たちが圧勝しています。
たとえば、「毎日楽しく働けている」と回答した割合は、通勤ストレスが高いグループが35.3%だったのに比べて、通勤ストレスが低いグループでは68.1%と、なんと30ポイント以上も高い結果が出ています。
楽しんでいる割合がほとんど2倍になっていますね。つまり、私たちが普段思っている以上に、通勤時のストレスは仕事に大きな悪影響を及ぼしているのです。
通勤時間が長いほど通勤ストレス値が高い
さらに詳しく見てみると以下のような特徴も見つかりました。
・ 通勤時間の平均は49分
・ 通勤時間が長い人ほど通勤ストレスが高い
というわけで、当然のように感じますが、通勤ストレスは通勤時間の長さに比例して大きくなっていきます。
つまり、仕事を楽しむためには通勤時間を減らすことが大切ということです。
実はストレスを感じている人ほど夜更かしをします。自分が夜更かしをしていたら、「ストレスが溜まっているのだ!」自覚してストレス対策を行い、なるべく早く寝ましょう。
— ちょっぺ〜先生@心理学博士 (@kruchoro) 2020年12月26日
男性の方が通勤時間が多い
また、性年代別に見てみますと、全体的に女性より男性のほうが平均通勤時間が長いという傾向がありました。最も通勤時間が長いのは60代の男性で60.3分で、最も短いのは60代の女性(36.7分)でした。
男性の方が通勤時間が多いという傾向は他の研究結果とも一致しています。その理由は、社会的に男性の方がお金を稼がなくてはならない立場に置かれることが多いからです。
そして通勤時間の長さは年収とも比例しています。つまり、通勤場所が遠い人ほどお金を多く稼いでいるのです。
これは出世と年収アップのためにわざわざ遠くの会社を選んでいるからです。
役職が上がるほど通勤時間が増える
役員・管理職・正規・非正規別で見てみると、管理職の通勤時間が最も長くなり、平均で56.8分となっています。
偉くなるほど通勤時間が増えてしまうのです。
先ほど年代別に見ると高齢の男性ほど通勤時間が増えていましたが、これも年功序列などで役職が上がるからでしょう。そして男性はストレスと引き換えに年収アップを求める傾向があります。
逆に女性では、年齢が上がるほど通勤時間が減るようです。社会的に見ると、女性は年齢が上がって役職に就くというよりは、非正規雇用の割合が増えていそうですからね。
参考資料
通勤ストレスがワーカーの満足度に与える影響 首都圏オフィスワーカー調査 2019
https://soken.xymax.co.jp/2019/06/04/1906-worker_survey_2019/