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【解説】はじめの一歩を踏み出そう / マイケル E ガーバー ちょっと考え方が古いかも…?

ブックレビュー

こんちゃ!平安貴族のアイドルこと、ちょっぺ〜です。今回は『はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術 [単行本]  / マイケル E ガーバー』を簡単に解説しながらおすすめ部分を紹介していきます。

まず読んでみての率直なわたしの感想ですが、ガーバの主張する理論も考え方も20世紀の経済社会を基準に考えているようなので、現在の社会では当てはまらないことが多いだろうな、という感じです。
本書が最初に手にした経営学書となると、ちょっと頭が凝り固まってしまう危険性があります。
具体的に言うと、起業家気質、マネージャー気質、職人気質、とガーバーは3つの性格に人を分けてそれぞれに得意な分野・苦手な分野を提唱していますが、わたしたちの性格というのはそんなに単純に分けられるものではなく(このあたりはガーバーも本書内で認めている)、またある傾向があったとしても環境と行動次第で人は自分の性格を変えられるので、自分に足りないところがあるのならその部分をあとから埋めることもできます。また従業員を雇わなくても、今は簡単にクラウドソーシングを使って外注という手段で人の手を借りることもできます。

ですので自分の性格にこだわるというよりも、自分のやりたいことと好きなこと、苦手なことと必要なこととを具体的に見つけて判断し、その都度解決していくという柔軟な思考と行動をとる方が現代のビジネスでは重要です。

とはいえ、ガーバーの語る哲学的な部分、自己啓発的な部分は読んでいて面白いところもありますので、そういう意味では自信をつけるのにつながることがあるかもしれません。
もし本書を読むのであれば教科書というよりは、経営学書の古典として読むことをおすすめします。まぁそういう見方も昔の時代はあったよね、という具合に。


ガーバーは、起業家とマネージャーと職人という三種類の性格を分けて考えています。ガーバーの経営学は古典なので、この区別の仕方をどこかで聞いたことがある人もいるかもしれません。
この三種類の人たちの区別を簡単に説明すると、
起業家というのは、物事の中にチャンスを見つけ、未来を想像する力がある人たちのことを指します。それが習慣のような文化でも作品のような物質でも、とにかくあたらしいものを作るのが好きだという思いがある。しかし起業家の人たちはその性格ゆえに、人からは理想主義的だと思われることが多いかもしれません。

マネージャーは、物事を数値化して管理し、そこから過去を分析し、現在の状況を把握するのが得意な人たちです。このような人たちは現実的で理屈屋っぽいと思われることが多いかもしれません。さらに言えば、眼鏡をかけてそうな人というイメージですね(これは偏見です笑)。

そして職人は、自分の仕事に集中していたい個人主義的な傾向の強い人たちとされています。頭の中の世界観を現実に作り出すにはとてつもない集中力が必要になるので、そのためにもの作りを生活の基本とする職人さんたちは殻(自分の場所)にこもりがちになり、まわりからは個人主義的に思われてしまうのかもしれません。コンテンツを作るのが好きだけど、それを管理したり新たな方向性を見いだすことにはあまり興味がないという感じです。
本書はこの職人タイプの人たちの視点を中心にして、起業するときの注意点を説明しています。ガーバーと、職人タイプの女性経営者との対話形式で話は進んでいきます。

ガーバーは会社を作るとき、経営者がいなくてもきちんと運営される組織を目標にするべきだと言っています。これは他の経営学の本でもよく語られることです。経営者にとっての最大の目標というのは、自分が会社からいなくなることだ、と。つまり、起業家は自分の好きなことをただ仕事にするというだけではなく、その雇用を世界に作り出すために存在するのだということです。このあたりの経営哲学はかなりカッコいいポイントですよね。

そして本書は、その目標を達成するための方法として、個人ではなくシステムに依存した組織作りを提唱しています。専門家の能力ではなく、公式のルールやマニュアルの力に頼ることで、いつでも均一のサービスや商品を作り出すことができるということです。マニュアル化というと機械的で悪いイメージがあるかと思いますが、要するにノウハウやレシピを開示し技術や知識を効率的に伝えるとともに、製品の品質が正しいものなのか間違っているものなのか、誰の目に見ても明らかに理解できるようにチェックできることが大切だということです。
これがもし特定の企業や組織が、優秀なクリエイターやリーダーありきのものになってしまったら、彼らがいないときにはうまく機能できないので組織を運営し続けることができなくなる、というわけです。「ジョブズのいなくなったアップル」がわかりやすい例かもしれません。もちろんこれから大きな復活を遂げる可能性も、まだありますが。。。

また後半では、雇った従業員に働いてもらうときのポイントについて語っていますが、大事なのはゲーム性であるとのこと。つまり「楽しくなければ誰も働いてくれないよー」ってことです。このあたりの説明は、このテーマを専門に扱った別の書籍を読んだ方が知識として身につくと思います。

最後に、本書のエピローグでガーバーはブドウの教えに着いて言及していますが、個人的に気に入っている一節だったので紹介しますね。

『武道の世界では、対戦相手は自分を知るための鏡となる。』

これはつまり、仕事をする上でのライバルの存在や解決すべき問題があるからこそ、わたしたちは自分自身の存在意義や誇りや弱点に気づくことができ、さらに成長できるということです。

要所要所の哲学はためになりますが、何せ本書は古い時代に書かれたものなので、具体的な方法論や理論は今の時代にはマッチしていないと思います。自己啓発だとかこういう視点もあるのかくらいに考えておくのがいいです。下手をすると古い思考にとらわれてしまうこともあるので、普段あまり経営本を読まない人にはおすすめできない本です。



今回のお話、みなさんはどう思いましたか?